【Design】そのサイン間違っていませんか?

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今日はビックサイトのIT系のEXPOに行っていました。
スマートデバイスが流行ったこともあるのでしょうが、ユーザエクスペリエンスという言葉が説明もなく使われるようになったことを実感していました。
そんな時代になったんだな、と思いながら、ふと使い勝手について考えます。

最近のWebサービスでマニュアルをじっくり読まないと使えないものはないし、
携帯電話のマニュアルを読んでから使う人もほとんどいないのではないでしょうか?

 

それでもほとんどの人はある程度の機能を使いこなすことができます。
それはなぜでしょう?

 

計算されているか、されていないかにかかわらず、配置や形や色や文字がサイン(記号)として、人に認知され、いちいちマニュアルを読まなくても使えるようになっているからだと思うのです。
そう、人は今までの体験や脳の仕組みに頼って道具を使っているのです。

それがうまくいかなかった例を私は体験したことがあります。
ある洒落たレストランで間違って男性トイレに入ってしまったのです。
敗因はドアにあったサイン。
人の顔と分かりにくいデザイン文字で男女の区別がされていました。
またその顔はどちらも中性的な顔で描かれていたこともあって、
お酒が入って認知力の低下した私にとっては判断が出来なかったのです。

それはサインとしては正しくないのでしょう。
確かに店の雰囲気に合わせてデザインをすることも統一感のある空間にするためには必要かもしれません。でも、意味を伝えないサインを明示する必要はないといえます。
それはサインではなく飾りなのです。

 

システムの世界にも同様のことが言えると思います。
コンピューターシステムは長い間、技術的な限界を理由に使いにくさをユーザーに強要してきました。
分厚いマニュアルを読まなければわからない、詳しい操作説明が必要です。
こんなシステムは今でも世の中に氾濫しています。
日々の業務に必要なので、我慢して使っているのです。

 

ユーザーエクスぺエリエンスという言葉がよく使われるようになったのはこういう背景をもとに、もっと人が使いやすいシステムを提供しようという必然的な動きだろと思います。

すでに一般消費者に対してはどのメーカーも力を入れはじめていますし、少しずつ、使いやすいと感じる製品も増えてきたように思います。

それでも、企業向けのアプリケーション開発でままだまだこの意識は遅れています。
スクロールしなきゃ入力できない画面のトップに保存ボタンがあったり、
注意書きが分かりにくい場所にあってかならず入力を間違うとか、
時刻入力させるのに0~59の数字をプルダウンで選ばせるとか、
使う側のストレスを助長させるものが山のようにあるのです。
作る人が使う人のことを意識しているとは思えないものもあります。

処理を早くする仕組みを考えることも、
見やすいコードを書くことも重要なことですが、ユーザがオペレーションを間違わず、スムーズに操作できることは同様に重要なことだと思います。
その意識が少し薄い人々がまだ現場にいるのかもしれません。

いつかはシステムもテレビや冷蔵庫のように直感的に操作を間違わず使えるようになるといいなと常々思います。

※過去(2010年)に他のブログで書いた内容を一部加筆しています。