■番狂わせが起こるとき  -W杯コロンビア戦に思うところ-

私はサッカーファンではありません。
たまに家人が見ているサッカーの試合をチラ見するくらいですから、選手の名前もろくに知りません。
一生懸命に見ていた時期もあるのですが、どうも自分には合わなかったようです。

ただ、私自身は「Japan」で戦う人は無条件に応援したいという変な性質の持ち主でして、オリンピックや国をかけた戦いではついつい普段は見ていないスポーツを見るのが習性になっています。

そんなわけで昨日もテレビ前観戦でした。

もちろん普通にニュースを見ていればここまでの経緯も大体わかります。
直前に監督を変えて大丈夫なのか?
新しく招集したメンバーは本当にこれで大丈夫なのか?
サッカーファンの友達もたくさんいますが、W杯が始まる前からみんなお通夜のようでした。
もう、日本以外の試合を楽しむよ、と開き直っていた空気すら漂っていました。

そして、昨日の試合。

なんかね、漫画みたいじゃありませんでしたか?
開始3分で、一人退場。
そして、PKで先制点。

なぜ、相手の選手は「ハンド」でそのボールを止めようとしたのでしょうか?
冷静に考えれば圧倒的な戦力を持っている彼らにとってはあの時間帯の失点は致命傷ではないはず。
その点を防ぐことよりも、彼がピッチに残っていることの方が有効だったのではないでしょうか?
そういう当たり前の判断ができなくなるのが、大舞台なのかもしれないな、と思いました。

試合を見てても、日本よりもコロンビアの選手の方がはるかにうまいな、と思いました。
ボールさばきが日本の選手とは全く違います。
一人減って、ちょうど互角の戦いができるくらいの空気感でした。

そしてそんな焦燥感は指揮官の判断も狂わせたのでしょうか?
コロンビアの交代は、怪我の影響があるスター選手をピッチに出すという選択でした。
日本はこのあたりから相手ゴールに攻められるようになって、追加点を最終的に得ることができました。
長い時間守りきって、5分のアディショナルタイムを我慢して得た歴史的勝利でした。



いや、勝っちゃったよ、という感想でした。
どうやらアジアのチームがW杯で南米のチームに勝ったんのは初めてだったようです。
番狂わせ、ジャイアントキリング、誰もが勝てないだろうと思っていた試合に勝ってしまった日本代表でした。

でも、この戦い方がもう一度、再現できるか?には疑問が残ります。
確かにチーム全員の力で勝った試合には変わらないのですが、同じ戦略で戦うことは難しいでしょう。
そして、W杯前に抱えていた問題が解決したわけでもないのだと思います。

でも、こういう驚くべき試合結果が生まれるのが、W杯やオリンピックのように4年に一度しかない、緊張する舞台なのでしょうね。
あと2試合を彼らがどう戦い抜くのか、その結果、何がサッカー界に起こるのか、は興味深いです。

あるカーラーが言っていた言葉がふと頭によぎりました。
「負けには必ず理由があるけれど、理由のない勝ちがある」というそれです。
今回の日本の戦いはまさにそういう勝ち方だったのだではないでしょうか?
勝ったことは価値があります。
そう、今のところ、勝ち点3ですしね。

でも、この瞬間のために準備してきた4年間が正しい道のりだったのか?という疑問、次に同じような轍を踏まないための反省はどんな結果であっても、しなければならないのだと思います。

今まで自分が経験してきたリアルプロジェクトでもそうなんですけど、下手に収まってうまく行ったように見えると、そういうことしないんだよね。
個人が信じられない能力を出して乗り切ったとか、神風が吹いて、有利になったとかそういうやつでは。

そうなると、今から上の位置には4年経っても、いけなくなる。
もしくは後退する。
それはどんな競技もありそうな、そんな話。

いろんな示唆を含んでいるなと考えた夜でした。