■羽生結弦という魂 -国民栄誉賞授与に寄せて-
最初に彼を見たのはニースのロミオの演技でした。
でも、その時は、ソチに間に合うとは思っていませんでした。
棚ぼたのような金メダルでした。
有名にることは「バカに見つかること」と言った芸能人もいました。
幾つになっても。
■ヒカリアレ -お疲れ様でした、龍神NIPPONのみなさん-
2018年の龍神NIPPONのVNLが終わりました。
最後の中国ラウンドは3連敗。
勝ち星を重ねることができずに、最終順位は12位。
東日本インカレを見に行ったこともあって最後の2試合はオンタイムでは見れませんでした。
とりあえず、録画で追っかけ観戦しました。
選手によっては疲れが見えたり、パフォーマンスがいつもよりちょっと落ちてるかな、と感じるところもありましたが、コートに立っていた選手はみんな最後まで勝ち切ろうと思っていたと私は思います。
迫り来る世界バレーに向けてこの結果はどう評価すべきなのでしょう?
私が思うのはこのリーグの運営方式が変わってことで、日本は世界バレーで対戦するであろうチームと事前に戦うチャンスを得たのだと思います。
もし、去年と同じパターンで運営されていたら、グループ2のチーム(ほぼ去年と同じチーム)と戦うことになったでしょう。
もちろんそれなりのリーグの中で前回と同じような結果を残せたかもしれません。
でも、たどり着きたい場所にたどり着くためには強豪と呼ばれる国々の強さ、特徴を知ることもとても大事なことなんじゃないかな。
チームによってはベストメンバーじゃなかったという指摘もありますが、どんなチームも常にベストメンバーで戦えるとは限らないんですよね。
怪我があったり、体調が悪くなったり。
どんなに屈強な選手もアンドロイドではないですから、もちろん調子の波だってありますよね。
大きな試合で勝つために必要なことは、自分たちの力の底上げなんだろうな、と漠然と思っています。
世界でトップレベルのチームになるには最高のパフォーマンスができて、勝てるのは当然のことにならないとダメなんですよね。
そして、その時、チームの調子に波があって、ちょっと下振れしていても勝ちきれる、そういう力が必要なんじゃないかなと。
まさに2018年はそれに辿りつくまでの過程にいるのだと思っています。
今、最強のチームになる必要はなくて、2020年というゴールに向かって準備していく道の半ばなのかな、多分。
VNLが始まる前、私たちに夢を見させてくれた石川祐希がこのリーグを全休すると予想した人はどのくらいいたのでしょう?
そして、彼のいない全日本がこれほど活躍すると予想した人はどのくらいいたのでしょう?
いろんな想定外の中、彼らは持てる力を発揮して、何度も何度も驚かせてくれました。
とりあえず、びっくりだった戦績をまとめてみることに。
なんか、すごくありません?
もちろん様々な要因もあったと思いますよ。
でも何年も、何年も歯が立たなかった相手に互角に戦って、今のランキング上位(それがあてになるとかならないとかそれは別の話なので)に4つも勝ったんですよ。
しかも、ドイツなんて開催国ですよ。
アウェーです。
しかもね、勝った試合はフルセットばかり(どんだけバレーボール好きなのw?)。
何度ももうダメかも、このセットと思えるような場面もくぐり抜けて、勝ち取った勝利です。
粘り強く戦い抜いた証だと私は思っています。
ここに至るにはチーム内でもいろんなことがあったと思います。
移動距離も長いし、気候の変化だってあっただろうし、食事が合わないとかそういうこともあったでしょうし。
そういうことも含めて彼らが切り取ってきた結果なんですよね。
OQTで負けて、東京オリンピックでは開催国出場するというのに、闇しか見えなかったあの頃。
2016年のWLなんて、お通夜みたいでしたから。
見てる方も本当に苦しくて。
応援したくて見てるのに、どこにも希望のカケラすら見えなくて。
2017年、WLで残ってファイナルまで行って、アジア選手権で優勝して、ちょっと浮かれていたら、グラチャンでまた、足らないものだらけのこのチームに気づいたりもして。
だけど、そうした敗戦から、立ち上がって、一歩、一歩、彼らができることを積み重ねて、今年のこの結果に結びつけたのではないかと思っています。
だから、VNLの後半の試合に勝ちきれなかったけれど、少しづつ強いチームに勝てるようになるために前に進んでいることを感じています。
まだ、道半ば。
これからもっと、もっと、このチームは進化して、イタリアで私たちの夢を現実にしてくれるかもしれません。
約一ヶ月におよぶ長い、長い遠征、お疲れ様でした。
まずは翼を休めて、また高く跳ぶための英気を養ってくださいね。
次は親善試合。
どんな進化をしたか見にいくよ!
「ヤバイ」しか言えなくなるくらい、驚かせてね。
一寸先は闇でも、二寸先には栄光がある、きっと。
光あれ
行け 闇を滑走路にして
己の道を敬虔に駆けろ
光あれ
一寸先の絶望へ
二寸先の栄光を
光あれ
行け 影と歩幅合わせ
己と戦う日々に幸あれ歪曲がらず屈折せず 理想を追い続ける
その覚悟を「光」と呼ぼう
「ヒカリアレ by BURNOUT SYNDROMES」
■番狂わせが起こるとき -W杯コロンビア戦に思うところ-
私はサッカーファンではありません。
たまに家人が見ているサッカーの試合をチラ見するくらいですから、選手の名前もろくに知りません。
一生懸命に見ていた時期もあるのですが、どうも自分には合わなかったようです。
ただ、私自身は「Japan」で戦う人は無条件に応援したいという変な性質の持ち主でして、オリンピックや国をかけた戦いではついつい普段は見ていないスポーツを見るのが習性になっています。
そんなわけで昨日もテレビ前観戦でした。
もちろん普通にニュースを見ていればここまでの経緯も大体わかります。
直前に監督を変えて大丈夫なのか?
新しく招集したメンバーは本当にこれで大丈夫なのか?
サッカーファンの友達もたくさんいますが、W杯が始まる前からみんなお通夜のようでした。
もう、日本以外の試合を楽しむよ、と開き直っていた空気すら漂っていました。
そして、昨日の試合。
なんかね、漫画みたいじゃありませんでしたか?
開始3分で、一人退場。
そして、PKで先制点。
なぜ、相手の選手は「ハンド」でそのボールを止めようとしたのでしょうか?
冷静に考えれば圧倒的な戦力を持っている彼らにとってはあの時間帯の失点は致命傷ではないはず。
その点を防ぐことよりも、彼がピッチに残っていることの方が有効だったのではないでしょうか?
そういう当たり前の判断ができなくなるのが、大舞台なのかもしれないな、と思いました。
試合を見てても、日本よりもコロンビアの選手の方がはるかにうまいな、と思いました。
ボールさばきが日本の選手とは全く違います。
一人減って、ちょうど互角の戦いができるくらいの空気感でした。
そしてそんな焦燥感は指揮官の判断も狂わせたのでしょうか?
コロンビアの交代は、怪我の影響があるスター選手をピッチに出すという選択でした。
日本はこのあたりから相手ゴールに攻められるようになって、追加点を最終的に得ることができました。
長い時間守りきって、5分のアディショナルタイムを我慢して得た歴史的勝利でした。
いや、勝っちゃったよ、という感想でした。
どうやらアジアのチームがW杯で南米のチームに勝ったんのは初めてだったようです。
番狂わせ、ジャイアントキリング、誰もが勝てないだろうと思っていた試合に勝ってしまった日本代表でした。
でも、この戦い方がもう一度、再現できるか?には疑問が残ります。
確かにチーム全員の力で勝った試合には変わらないのですが、同じ戦略で戦うことは難しいでしょう。
そして、W杯前に抱えていた問題が解決したわけでもないのだと思います。
でも、こういう驚くべき試合結果が生まれるのが、W杯やオリンピックのように4年に一度しかない、緊張する舞台なのでしょうね。
あと2試合を彼らがどう戦い抜くのか、その結果、何がサッカー界に起こるのか、は興味深いです。
あるカーラーが言っていた言葉がふと頭によぎりました。
「負けには必ず理由があるけれど、理由のない勝ちがある」というそれです。
今回の日本の戦いはまさにそういう勝ち方だったのだではないでしょうか?
勝ったことは価値があります。
そう、今のところ、勝ち点3ですしね。
でも、この瞬間のために準備してきた4年間が正しい道のりだったのか?という疑問、次に同じような轍を踏まないための反省はどんな結果であっても、しなければならないのだと思います。
今まで自分が経験してきたリアルプロジェクトでもそうなんですけど、下手に収まってうまく行ったように見えると、そういうことしないんだよね。
個人が信じられない能力を出して乗り切ったとか、神風が吹いて、有利になったとかそういうやつでは。
そうなると、今から上の位置には4年経っても、いけなくなる。
もしくは後退する。
それはどんな競技もありそうな、そんな話。
いろんな示唆を含んでいるなと考えた夜でした。
■ルールは賢く利用するもの - 採点競技の闇-
中国が今年は中国杯をやらないというニュースで溢れたのはつい1週間くらい前のこと。
オリンピックの準備のためらしいという話もありましたが、今日のニュースを聞いてもしかしたらその影響もあるのではと思える出来事がありました。
平昌オリンピックのジャッジを巡って、中国ジャッジに対して下記のような裁定が下されたというもの。
最初に感じたのは違和感でした。
なぜって、あからさまなことをやったのは中国だけじゃないと思っていたからです。
そう、アメリカだって、お国びいきのジャッジだったじゃん、と思い出したわけです。
なのになぜ中国だけ?と感じました。
感情的に見れば私にとってはどっちもどっちでした。
でも、この両者には明らかな違いがあります。
ルールを守ったか、守らなかったか、というそれです。
フィギュアスケートのルールの中では、ジャッジの出す点数が全体の平均点から上下を含めて基準に収まるように、と定義されていて、その範囲を超えると、なぜ、そうしたかなどを説明しなければいけない、場合によっては今回のような処分がされると決まっているのです。
中国はルールを抵触するほど自国の選手を爆上げし、アメリカはルールに抵触しないように自国の選手に点を盛りつつも、他国の選手の点を低めにつけるという方法に出ました。
道義的にはどちらも一緒ですが、ルールにのっとているかどうか、という点で大きく異なります。
アメリカはルールを最大限に利用し、自国選手に有利に働くような対応をしたということです。
「ずるい」という感覚はもちろん私にもあります。
別の見方をすると今年までのジャッジングシステムはそこまで点差をあからさまにつけられるような裁量が許されていたのです。
「ジャッジは絶対だ」とか、「ジャッジがそんなことをするわけがない」と連呼してた人たちはこの事実をどう受け止めるのでしょうか?
私はずっとプロトコルを見て、明らかに下ブレしてるジャッジがいる、上ブレしているジャッジがいると感じていました。
ジャッジが匿名でなくなったことでその裁量の範囲が自国選手の爆上げのために使われてるということがファンの前に明らかにされただけなのです。
私は常々、フェアに戦うってどういうことだろう、と考えます。
それは良心に沿うものではなく、ルールに沿うものなのだというのが私の結論です。
ルールを破らない範囲では何をやってもいい、それがスポーツなのです。
だから、中国は罰せられ、アメリカにはお咎めがないのです。
結果として似たような状況になっていたとしても。
来シーズンからの新しいルールになってもこの傾向は変わらないでしょう。
さらにGOEの幅が広くなったことで、もしかしたら裁量はさらに広がるのかもしれません。
もしかしたら、今回の処分はそういうことに対する抑止力として働かせようという意味があるのかもしれません。
採点競技にはこういった傾向は必ずあります。
試合を見ながらモヤモヤすることも。
それを飲み込んだ上で、楽しめるか、というのを問われているような気がします。
だからこそ、羽生結弦は何度も、何度も口に出して言っていたのだと思います。
圧倒的に勝ちたいと。
こういう操作ではコントロールできないほどの高難度で、完成度の高い演技を目指したのだと。
それがオリンピックで2連覇する唯一の方法だと、彼自身も、オーサーも知っていたのだと思います。
そのために彼には不要だと言われた4Lzにも挑戦したのでしょう。
結果は彼が想定したものではありませんでしたが、圧倒的に勝つという目的は果たしたのかと思っています。
人間が採点する以上、それが絶対評価になることはないでしょう。
これからルールが変わっても、勝ちたいと渇望する国はルールを最大限に利用し、自国の利益を求めるでしょうから。
中国は今回のことで、次はもっとうまくやるようになるかもしれません。
それが採点競技の限界なのでしょうね。
ルールをどう塗り替えても、誰もが納得するようなルールを作ること、運用することは難しいと思います。
機械がすべての採点を行えるようになるまでは。
勝ち続ける絶対王者と呼ばれるスケーターはその思惑も乗り越えるほどの圧倒的強さを持ったスケーターなのでしょう。
私が追いかけてきたのは、そういうスケーターでした。
新しいシーズン、ルールは大きく変わります。
それでも彼と、彼のブレインは彼の強みを生かして、ルールを最大限に生かし、勝とうとしていくでしょう。
その中で、もしかしたら、また、モヤモヤしたものを見るかもしれません。
そんなことが起こったとしても、彼は最後にはそれを乗り越えるのだと信じています。
そう、彼が戦い続ける限り。
そして、そんなスケーターが氷を降りるとき、私はこの競技への興味を失うのかもしれません。
だって、すっきりしないんだもの。(本音)。
■旅立ちの季節 4 -カーリング界隈の新しい動き-
ウィンタースポーツにとってオフシーズンはチーム編成の時でもあります。
オリンピック後はいろんな改変が起こるものですが、カーリンング界隈でも大きな二つのニュースが入ってきましたね。
SC軽井沢から、清水さん、平田さんが抜けるというニュース。
北海道銀行から小笠原さんが抜けるというニュース。
【小笠原 歩選手 北海道銀行フォルティウス退団のお知らせ】
— 北海道銀行フォルティウスTeam OGASAWARA (@h_fortius) 2018年6月18日
北海道銀行フォルティウスオフィシャルWEBサイトをご覧ください。https://t.co/CjT6PcyjPS
チームメンバーが増えたり、変わったりはカーリング界では普通に起こる話です。
例えば、今はLS北見のスキップになった藤澤さんは中電にいたことがありますし、吉田知那美さんは北海道銀行にいたことがあります。
本橋麻里さんはチーム青森を離れて、LS北見を作りましたし、チーム青森を離れた小笠原さんと、船山さんが北海道銀行のチームを作りましたし。
ま、あげれば切りはないですがトップ選手が新しいチームを作ったり、形が変わったりというのはあまり驚くことではないのですが、今年は特にオリンンピックでたくさんの人が初めてカーリングに興味を持ってくれたこともあって、ちょっとざわざわしているのかもしれません。
特にSC軽井沢は長い間、同じメンバーで戦ってきたこともあるので、私もニュースには少し驚きました。
もう一つ感じたのは、男子もそうやって強いチームがたくさん出来上がってくる時期がやってきたのかもしれないということです。
カーリングは長い間、男子がオリンピックに出れませんでした。
なので、自分がカーリングをやっているというと大抵、カーリングって男子はあるの?と聞かれるのが常でした。
他の競技でもそうだと思うのですが、基本、スポーツは男子の方が層が厚くて、なかなか世界に出て行けないこともよくあります。
カーリング男子もそうでした。
国内ももう長い間、SC軽井沢一強の状態が続いていました。
チーム札幌(4real)は彼らに勝った試合もありましたが、連勝が続いていましたし、カーリングをする人たちから見ても、世界と戦えるのはSC軽井沢しかない、という認識でした。
だから今年の日本選手権でチームIWAIが優勝したとことにちょっと私たちは驚きました。
下馬評では今年の日本選手権はチーム札幌が勝って、世界選手権に行くだろうと思っていましたから。
しかもこのチームIWAIはメンバーが足らなくて、助っ人を入れたりして構成されていたチームですから尚更ですよね。
でも、彼らも世界選手権で新しい可能性を見せてくれましたよね。
見てる人を楽しませてくれるプレーをたくさんしていましたし。
豪くんの豪快なテイクを見て、カーリングって面白いな、と思ってくれた人もいるのではないでしょうか?
カーリングはマイナースポーツで、競技者でも働きながらやっている人も少なくありません。
年間を通じて、活動をして行くためには、お金もかかります。
女子では北海道銀行や、富士急が会社として支援してくれたりもしていましたが、男子ではなかなかそういう環境になかったのではと思います。
特に、オリンピックに出てませんでしたから。
それが平昌オリンピックを経て、ちょっと変わってきたのだと思います。
実は、カーリングは露出時間の長いスポーツです。
今回のオリンピックでも、予選が9試合あって、試合時間は普通にやって、2時間くらいです。
それだけテレビに映り続けた競技は他にはなかったと思います。
その宣伝効果を考えたら、投資しやすくて、リターンが帰ってくるかもしれない、と思う企業があっても不思議じゃないですよね。
それが今回の新しい動きの一つなのかな?と私は感じています。
日本が強くなるために踏み出した第一歩、そう考えると、楽しくなってきませんか?
誰かがその時代を切り開き、そして、また新しい動きが出てくる。
そうやってマイナー競技から、メジャーになろうと育って行くのかもしれない、と少し、感慨深げです。
彼らがどんな戦いを見せてくれるのか、今から、楽しみでしょうがありません。
次のシーズン、どんな風に勢力図が変わるのか、変わらないのかを見届けたいと思います。