■Last Chapter -君を追いかけた日々 その1-

平昌オリンピックがもう間もなく開催されます。
たとえ、この後、彼が競技を続けるとしてもこれが最後のオリンピックになるでしょう。
この後の競技人生はいわばエピローグのようなものなんだろうな、と勝手に思っています。

思ったほど心は揺らいでいない。
あまりにも静かな心持ちに自分でもびっくりしているくらい。
なんだかもう私自身も、きっと彼もやるべきことはやり尽くしているという感覚なのかもしれない。
大して長くもない時間なのに、果てしなく長い時間を過ごしてきた気になっています。

その瞬間を迎えるのに、もう一度、私のこの6年の追っかけ生活を振り返ってみようかと思います。(長文になるこは目に見えているので、適当にお付き合いください)

始まりは2012年。
あの瞬間は今でもくっきりと目に焼き付いています。
怪我を庇いつつ、渾身の演技で滑ったロミオとジュリエット。
演技を見ていた多くの人たちが彼に惹きつけられました。
その少年が何を成し遂げるのか見てみたいという気持ちに。


羽生結弦 2012世界選手権 FS(B.ユーロ日本語字幕)


誰かや、何かを追いかけるという経験を初めてしました。
  
駆り立てられるように彼のパフォーマンスを見に行きました。
アイスショーから始まって、最初の試合観戦は雪の真駒内。
あの日、たまたま札幌出張が決まって、ショートの日だけチケットが手に入ったというラッキーが重なってそこにたどりついたのです。


Dec 2012 Yuzuru Hanyu 羽生結弦 SP


ただただ強さを見せつけられたショートプログラムで。
でも会場の空気は外気温よりも冷え込んでいました。
こんなことがあるのかと今でもあの光景を思い出すと背筋が寒くなります。
言葉では言い表せない空気がそこにはあったのです。
あんな会場で試合を見たのは後にも先にもあの時だけ。
それだけ不穏な空気。

そこで私が誓ったことは、いつか若い才能が彼を追いかけてきたときに同じことは絶対しないということだけ。
それを乗り越えても同じことをする人がいるという現実を突きつけられていることはとても苦しく残念です。

順風満帆に見えたシーズンの終わりの世界選手権は衝撃的なショートの失敗から始まりました。


Yuzuru Hanyu - 2013 World Championships - SP


どうしてもリアルタイムで見たくて、会社でスマホ片手にその2分30秒を追いかけていました。
終わった瞬間の彼の無理矢理笑おうとする笑顔を思い出すと今でも泣けます。
全日本王者として、オリンピックの枠とりのために戦った世界選手権で、ショートで9位。
その日に行くはずだった指田さんのライブに行く気力は残っていませんでした。

フリーの日。
なんとかライブストリーミングを探して、フリーをリアルタイムで見ました。
胃は痛くなるわ、手は震えるわ。


Yuzuru HANYU - 2013 WC FS (BBC)

足の怪我も聞いていたので、もう、ただ、最後まで滑りきってくれたらいいと祈りました。
そして、ジャンプがひとつ決まるたびに涙腺が崩壊。
終わることにはほとんど画面が見えませんでした。
骨しか残らなかったとか、散々な言われようだったけれど彼はすべてのジャンプを降りて、4位に浮上。
3枠を確保するために最低限の仕事を仕切って、氷上に倒れこんだ彼の漢気に惚れ直しました。

あとで、ドイツ語解説のフリーの演技を見た時の解説の言葉が宝物になったのです。
「勇気を持つものは世界を手にいれる」と。

【ESPドイツ実況字幕付】 羽生結弦 2013 世界選手権 FS by momo スポーツ/動画 - ニコニコ動画


そしてこのMADを見て何度も、何度も、泣きました。


Yuzuru Hanyu; Here's to Your Amazing Season


つづく。